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萎凋
摘んできた茶葉を布の上に敷き詰める
萎凋
茶葉を均等になるよう均す
萎凋
萎凋
日光萎凋が終わった茶葉を今度は室内へ。袋の重さは何十キロだろうか。
萎凋
室内萎凋
萎凋
左:今摘んだばかりの茶葉
右:日光萎凋が終わった茶葉、つやが違う
 
萎凋
この竹ザルは今の時期は使わない
中国茶・揺青
中国茶・揺青
竹で編んだカゴがグルグル回る。
中国茶・揺青
心の準備もできないままに、お茶作りは進んでいる。そう、お茶は時間と気候との勝負。待ってはくれない。

日光萎凋

萎凋(いちょう)・・・摘んだ茶葉の発酵を促進するため日の光りや室内で茶葉をしおらせること

家に着くや、今度は中庭に大きな布を敷き、その上に今摘んできたばかりの茶葉を広げ始めた。30キロの袋が10個。次々と広げられる。話をしている暇などない。ざっと広げた茶葉を熊手で優しく同じ厚さになるよう均していく。台湾の暑い日差しを茶葉が吸収していくようだ。これが日光萎凋(にっこういちょう)。茶葉の酸化発酵を促進させるため茶葉をしおらせる。

摘んできた茶葉を中庭に広げ、やっとひと段落かとホッとし、これで林先生に挨拶ができると思ったのも束の間、10分もしないうちにまた先生は動き出した。

室内萎凋

林先生は地面に敷いた布を手繰り寄せ、茶葉をそのまま包み込んだ。そして担ぎ上げた。何十キロあるのだろう。そして、作業場へと運び込み、また丁寧に茶葉を床に広げ始めた。外でやったのと同じように熊手で茶葉を均していく。作業場一杯に広げられた茶葉はまるで絨毯のようだ。そしてそのまま茶葉を休ませる。これが室内萎凋である。
室内に茶葉を広げ終わると、林先生は奥へ行き、暫くする大きなヤカンを手に戻ってきた。
「さあ、少し休憩しましょう。お茶でも飲んで」
目の前で次から次へと行われる作業に私は驚きを隠せなかった。先生のお茶を頂き、少し落ち着くとやっと挨拶することができた。すると先生は「今日は泊まっていくんでしょ」とおっしゃる。あまりの急な言葉に「えっ?」と、驚くと「中国茶作りを最後まで体験するには明日までいなくちゃ。部屋はあるから大丈夫」と言われた。そんなつもりもなく何も用意してこなかったが、自分で作った中国茶を味わいたくてご好意に甘えることにした。
改めてここで林文経先生についてご紹介しよう。
林文経先生の茶畑は台北市桃園縣亀山郷にある。桃園といえば台北国際空港のある場所で、台北駅から電車で30分ほどのところである。このあたりの土はph5.5〜6.5の酸性の赤土でお茶作りには適しているそうだ。
林先生は小学校まで日本教育を受けられ、日本語が堪能である。40年以上お茶を作り、その間幾度も十大傑出農民を受賞されている。無農薬有機栽培にこだわり、中でも先生の作る東方美人の評価は高い。

「あの〜」駆け出しといえどもお茶に関わる仕事をしながらこんなこと聞いてもいいのかなと思いつつも素朴な疑問を投げかけてみた。

「日光萎凋なんですが、これは何分位やるんですか?」
「天気によってです。10分位を目安に、短い時もあるし、長いときもある」
「それは、茶葉のしおれ加減とか、それとも先生の経験とカンですか?」頭の中にクエッションマークが一杯の私の顔を見て先生は、ちょっといらっしゃいと外へ連れ出した。先生は近くの茶畑の茶葉を一つ採ってまた作業場へ戻ってきた。
「今採った茶葉と日光萎凋の後の茶葉。比べてごらんなさい。 」
二つの茶葉をジッと見つめる。
「艶が違うでしょ。採ったばかりの茶葉はツヤツヤしている。」
言われてみるとそうだ。大げさに言えば採ったばかりの茶葉はワックスを塗ったようで鏡のように映りそう、日光萎凋後は全く 光がない。

「もう一ついいですか?室内萎凋ですが、ざるのような段に入れてやるんじゃないんですか?」
「これのことかい?これを使う時は日光萎凋の時もここに乗せてやるんだよ。それでそのまま、室内の段に戻す。これも使うけれどね、今は暑い時期だから茶葉が蒸れてしまう。だから作業場の床に敷くんだ。」
言われてみると床もただのコンクリではなく、つやがある。触ってみると少しひんやりして気持ちいい。

1時間ほどすると林先生は熊手を持ち、床に広がっている茶葉を掃き出した。そして上下を返すように均していった。室内萎凋は3時間。その間に3回これを繰り返す。実にゆっくりと茶葉をお茶へと育てていく。

茶葉を均し終わると昼食となった。先生の家は1階が応接間とダイニングキッチン、作業場があり、2階が寝室となっている。ダイニングへと通された。たくさんの野菜、そして肉料理。台湾のお袋の味だ。どれも美味しい。そして、想像以上に体力を使うお茶作り。しっかり食べていないと体が持たない。
「この鳥はうちで飼っている鶏だよ。食べなさい」食べ終わってからこっそり裏へその鶏を見に行ってみた。丸々太った黒い鶏が放し飼いになっていた。台湾の市場へ行くと、生きたままの鶏が籠の中に入れられ売られている。その中でも黒の鶏は美味しいと言われる。

応接間には林先生が受賞した数々の記念の盾が飾られている。が、作業場の片隅にも埃まみれになったそれらしきものがある。恐らく先生にとって賞は単なる結果であり、いかに美味しい中国茶を作ることの方がだ大切なようだ。

もう一つ私の目を惹いたのはダイニングにある立派な祭壇だ。台湾のご先祖様を大切にする心が見て取れる。

揺青

揺青(ようせい)・・・揺らしながら茶葉同士をこすり合わせ、発酵を促進すること

3時間の室内萎凋が終わると、次は揺青で、もっと茶葉を発酵させる。これには竹でできた機械を使う。竹で編まれた大きなカゴとでも表現すればわかるだろうか。室内した茶葉をこのカゴの中に入れる。蓋をしてスイッチオン。するとカゴはグルグルと回りだす。熱は加えない。ただひたすらに回るだけ。これを1回目10分、1時間半休んで、2回目20分行う。

この揺青の機械は2台あり、床に敷き詰められた茶葉をほうきで集めながら詰めていく。1度には入りきらないので何度かに分けてやる。

「これが揺青、撹拌とも言う。なぜやるか知っているかい」と、林先生。
「更に発酵させるんですよね」
「萎凋も発酵だけれど、茶葉の先は目に見えない細かいギザギザがあるんだ。揺らすことによってそこから渋みや苦味の水分が飛ばされる。それでまろやかなお茶になるんだよ」
なるほど、単なる発酵ではなかったのだ。
1度目の揺青を終わらせた茶葉はまたきれいに敷き詰められ2回目まで1時間半休ませる。

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