乾燥機にかけ、余熱をとると東方美人が完成となる。白毫がキラキラとしている。時間は朝の6時。袋に詰めて計量する。今日誕生した東方美人は5斤ほど(約3キロ)。早速、試飲してみる。品評会の淹れ方でお茶を淹れてみる。テイスティングカップに3gの茶葉を入れそこに150ccの熱湯を注ぎ蓋をして5分30秒待つ。茶杯に空けてまたしばらく置いてから口にする。渋みがなく、口いっぱいに東方美人のコクが広がるそしてそれが甘みへと変わる。変化が実にスムーズだ。
「品評会では一煎目を評価するけれど、東方美人が美味しいのは2煎目なんだよ」と、2回目のお茶を淹れてくれた。まろやかさが舌にまとわりつく感じ。とろんとした重さがある感じ。自分で作った(いや、手伝った。少なくともこの茶葉の中の一握りは私が摘んだ)東方美人。すごく良い出来だと思う。恐る恐る林先生を見る。林先生はお茶は飲むのではなく、舌全体で聞くようにお茶をすする。そして、深くうなずきながら
「うん、まろやかに甘くできた」と言った。
6月の末に行われる品評会まで作ったお茶は日付ごとに分けておき、その中で一番の出来のものを出品する品評会で特等奨を取ると茶葉の値段は一気に跳ね上がる。だから茶商たちは出品前の茶葉をテイスティングし、自分の狙いをつけた茶葉を先買いするのである。はたして今日誕生したお茶は選ばれるのだろうか? |