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プーアル茶今昔物語
むか〜し、むかしのその昔のことじゃった。
場所は中国、雲南省。高い山に囲まれた集落に、少数民族が住んでおったそーな。
彼らはお茶を採取しても、売りに行くためにはいくつもの山を越えなきゃならんかった。お茶っぱは軽いが、 たいそうかさ張るもんじゃ。苦労して山を越え、持てるだけの茶葉を背負って売りに行っても、所詮大した金にはならん。
ある日、その村の酋長は村の者を集めて、こう言った。
「この茶葉を他の村に売りに行くのに、何か良い方法はないかのぅ・・・」
「はい! わたくしに良い方法がございます」
そう手をあげたのは、村一番の器量良し、その上頭の切れる娘・yukaじゃった。
「おぅ、yuka、お前に良い考えがあるというのか? お前の言うことじゃ、聞こうじゃないか」
「はい。茶葉をかさ張らぬようレンガのように固めて運んだら如何でしょう?」
「なに? レンガのようにじゃと? 」
「はい。円状に固めてもよろしいかと思います」
「おぅ、さすが賢い娘じゃ。ほら! 皆の衆、yukaの言ったように茶葉を固めて、運ぶのじゃ!」
さて、大量にあった茶葉は、yukaのアイディアによりレンガや円状にギューギューに固められ、そりゃたいそう小さくなった。
食パン1枚を潰して潰していったら、最後にはサイコロサイズになってしまうような感じじゃ。わかりやすい例えじゃろ?大量の茶葉はいくつかのレンガや円状の形に小さく姿を変えた。
「これを向こうの町まで運んでくれる者はいないかのう?」
「うんだ、おらが・・・・・」手をあげたのは村一番の汗っかき男・モトじゃった。「おぉモト、お前はたいそうガタイも良いし、腹も出ておる。その腹を見る限り、砂漠のらくだと一緒じゃ。これからの長旅もお前の腹の脂肪があれば食に困ってもなんとか生きていけそうじゃ。モト、頼んだぞ」
こうしてモトはいくつのもレンガや円状の茶葉を背中にしょって、遠くの町を目指し、山を越え、また山を越え、歩いたそうな・・・。村を出て数日が経った頃、やっとモトはある町に辿りついた。
「あぁ暑い! 暑い! やっと町に着いたけろ。さぁ背中から茶葉を下ろして、この茶葉を高く買ってくれる人を探さないといかんべや」
(いくつもの方言を操るモト、一体あなたはどこの人?)
「すんません。おらは雲南省の村から来た者だども、誰かこの茶葉さ買ってはくれませんかのう?」
「雲南省じゃと? お前はあんな遠い山間の村からこの町まで茶葉を運んできたというのか?」
「うんだ。どうかおらの村で採れた茶葉を買っておくんなせー」そう言って、モトが背中から茶葉を下ろすと、町民は皆ムムッとしたように後ずさりをしたそうな。
そりゃそうじゃ、レンガや円状に固められた茶葉など見たこともない。
「沢山運んでくるためにこうして固めてきたばってん。だども中身は変わりましぇん」
そう言ってモトは固めてあった紙を皆の前でほどいてみせた。
またしても皆はムムムムッ・・・・・・。
中から出てきた茶葉を見て、モト自身もムムムッ、寸で腰を抜かしそうになった。茶葉が真っ黒に変色し、なにやら発酵したような匂いがするからじゃった。汗っかきのモトの背中に幾日も背負われていた茶葉は、モトの人間スチームによって発酵し、黴臭く真っ黒になっとった。
「なんじゃ! この茶は! こんな、真っ黒な黴臭い茶葉など見たこともない!」
「お前、わしらにこんな腐った茶葉を売りつけにきたのか?!」
モトは大いに困った。茶葉がすっかり売り物にならなかったと言うたら村の人はなんと思う。それにアイディアを出したyukaの悲しそうな顔も目に浮かんだ。モトはyukaに恋心を抱いておった。
自分が茶葉を運ぶと買って出たのも、yukaのアイディアを素晴らしいものだったと自分が立証してやりたかったのじゃ。モトはとっさにこう言ったそーな。
「これはわざわざ発酵させた茶だっぺ! プーアル茶と言うっぺ。おらが村では皆この茶さ、飲んでるぺっ。香りが高く、
消化に良く、おなごは皆スタイルがいいっぺ!」
かくして、プーアル茶は消化に良いお茶として、雲南省の名物お茶っぱとして後世にまで飲み継がれていったという・・・。
(中国茶葉の歴史・だいぶフィクションより)
時は平成15年。
場所は日本、東京。毎年、流行の水着をいち早く身につけ、ビーチやプールを闊歩していたyukaはいづこ・・・・・。
流行、露出、セクシー、挑発、これがyukaの水着選びの4大軸になっていたはず。「はず」ってことは、そう過去形。
去年着た水着、そして多分今年も着るであろう水着・・・、これって一体いつ買ったんだっけ? もうyukaは思い出せない。
流行? 関係ねぇーべぇ! 露出? もっての外ス! セクシー? 脱落だべ! 挑発? おぞましいっぺ! いつしか4大軸はたったの1つ「見てる者に不快感を与えない水着」。
しかし、yukaは思う。いいのよ、いいのよ・・・・・誰が見てるというの? プールに行ったって、おしっこ臭いちびっこプールで娘の子守。ビーチに行ったって、貸しボートに家族3人ぷかぷか浮かんでるだけだもん・・・。海の家で売ってる焼きそばや焼きとうもろこしだって、「歯に詰まるしィー、前歯に青海苔が付いて、ナンパされたとき困っちゃうしィーー」なんて言っていた頃もあったわねぇと今じゃ娘と競い合うようにむさぼっている。いいのいいの、私なんか・・・。これがyukaの口癖だ。こーやって女は、人生のスポットライトの当たる場所から黒子へと退いて行くのだろう。
「このままじゃいけない!」
yukaはある日、テレビの画面を見ながらっそう叫んでいた。テレビの画面には来日して、騒がれている「ベッカム&ヴィクトリア夫妻」が
映っていた。なんと、スマートで、ゴージャスで、クールでステキなんだろう!
yukaにだってかつては和製スパイスガール「七味」として活躍していた過去がある。(うそうそ)yukaの横でトドのように寝転んで滝のような汗を流してる夫・モトもかつてはバスケットボール界の貴公子と呼ばれていた。(大うそ!)
yukaはとっさにこう言った。
「モト! 香りが高く消化に良くって、痩せるというプーアル茶で今日からダイエットよ!」すぐさまお茶っぱ。comの事務所に駆けつけ、「Kao、プーアル茶1キロ! 1キロ売って頂戴!」余りのせっぱ詰まったその顔に
Kaoは銀行強盗に札束を差し出すかのように、プーアル茶1キロを差し出した。「な、な・・・七千円になります・・・」と小声で言うのが精一杯だった。かくしてyuka&モトは前世自分たちが作り出したとされるプーアル茶に時を越え、巡り合ったのだ。朝起き掛けにプーアル茶はご法度! 胃がまだ働かないうちに消化を促進するプーアル茶は飲んではいけない。
yuka&モトは毎食後にはプーアル茶、喉が渇けばプーアル茶、暇があったらプーアル茶、家の至る所に
「目指せ! ベッカム&ヴィクトリア!」
の貼り紙をして、プーアル茶ダイエットを開始した。
貼り紙の文字が
「打倒! ベッカム&ヴィクトリア!」
に変わった時、2人はプーアル茶ダイエットのコツを掴みかけていた。要するに、プーアル茶がなぜ痩せるのか? それでいて、こんなにも手軽で、楽なのに、プーアル茶のブームが筋肉マシンアブトロニックスをしのげなかったのはなぜか? その答えは簡単だ。ほとんどの人がそのコツを掴みきれず、脱落して行ったからだろう。このコツを掴むことなく、プーアル茶ダイエット成功の道はないのだ!(鼻息) そのコツとは?! (来夏につづく・・・・・)
大丈夫! そんな意地悪なことはしない。
yukaはわかり始めていた。プーアル茶を飲むと、普段より数倍お腹が減る。多分、プーアル茶によって体内に入った食物の 消化が促進され、脂肪になって蓄積される前に「あっれぇ〜〜〜クルクルクル・・・」と体外へ送り出してくれるからなんだろう。実際こんなことがあった。yukaは近所の中国人経営の中国料理店に宴会の時のみお手伝いに行っている。
ある日、yukaは厨房で湯気を出し、沸々と煮出された客用のプーアル茶を見つけ、厨房に料理を取りに行く度にダイエットと称してグビグビそれを飲んでいた。
するとそれを見た店のお母さんが言った。
「あんた! だめあるよ! 仕事中プーアル茶ばかり飲んじゃ!」お母さんたら何ケチケチしたこと言ってるのよ、別に減るもんじゃあるまいし・・・。(いや実際急激にプーアル茶は減っていたが)
するとお母さんは続けた。「宴会9時まであるよ。あと2時間ある! 今プーアル茶飲んだらお腹減る。9時まであんた食事取れない、辛いあるよ!」
そーゆーことだったのか。ごめん、お母さん・・・yukaは反省しつつも、その時、プーアル茶ダイエットへの成功の道を確信したのであった。おわかりだろうか? プーアル茶は痩せる。しかし、お腹が減る。ここでプーアル茶を飲んでるから大丈夫と言って小腹を満たしてしまった人には成功の道は訪れないのだ! お腹が減る。これも体に効いている何よりの証拠なのだ! と信じ、ググッと空腹を我慢し、乗り越えられた勇者こそ、「ベッカム&ヴィクトリア」の道が与えられるということ!
さぁ、あなたも今日からプーアル茶でダイエット。夏に微笑むのはあなたかもしれない・・・。
さて、yuka&モト夫婦の近状。
貼り紙は「雰囲気だけ! ベッカム&ヴィクトリア!」に書き換えられている。
プーアル茶ダイエット、早くも脱落か? いや、違う。体重は確実に減ってはいる。しかし、どんなに痩せたことろで、ベッカム&ヴィクトリア夫妻になれないということをやっと2人は気づいたということだ。(そんなん早く気づけよーーーーー!)
あなたのプーアル茶ダイエットに幸あれ!
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注釈 小沱プーアル茶 プーアル茶 |
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