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渇茶的時間 一緒にお茶を
中学の先生がしてくれた話。その昔、ある女子高での卒業式。
卒業生に向かって先生が言った。
「皆さん、これからの10年で本を10冊読む努力をしましょう」
その言葉に生徒は笑った。
    10年で10冊の本をといったら1年で1冊。努力なんてしなくても・・・。
    ところが、10年後集まった生徒たちに先生は聞いた。
    「皆さん私との約束を守ってくれましたか?」
    皆はハッとした。結婚、家事、育児に追われる日常の中、
    読書なんてことをすっかり忘れていたことを・・・。 

今月のテーマは「読書の秋、芸術の秋?」

 


 今じゃ食欲の秋にどっぷり浸かっている私だけど、(まぁこれは1年を通してなんだけど)
子供が生まれるまでは、1年を通して読書三昧の私だった。(「本当か?!」の野次多数)

 本を読むことが好き、一種の活字中毒者になったそのきっかけは、その昔台湾に住んだことだろう。

私が台湾に滞在していた当時、まだ衛星放送なんてものがなかった。
私たち日本人は週末になると怪しげな小屋に足しげく通った。
そこは外から見るとなんの変哲もない小屋だった。中に入ると暗幕が張ってあって、薄暗く、初めての人なら気味悪くて 帰ってしまうかもしれない。しかし、地元の日本人は吸い込まれるようにその小屋に入り、入口でお金を払い、暗幕の 中へと消えていく。その中には小学校の視聴覚教室にあるよな高い台に載ったテレビが置いてあって、そのテレビでは 日本のテレビ番組が流されている。まぁ映画館のようなものだ。しかし、著作権とか映像権とかも完全に無視し、 ただ単に日本で録画したテレビ番組を映画館タッチでお送りしちゃってる違法の商売。だから、なるべく外からはバレない ように控えめに営まれていたのだろう。(怪しげゆえ、かえって目立っていたけど・・・)

私たちはそこで2日遅れの「紅白歌合戦」を見て、日本のお正月を味わい、「欽どこ」のコントに笑い、「8時だよ! 全員集合」で新しい志村けんのネタを覚え、ピンクレディーの新曲の振り付けをマスターした。 まだビデオデッキが家庭に普及していない時代であった。


日本の本を買える本屋さんもなかった。
月に1度、配達屋さんが来て、注文してる本を家に届けてくれた。本当に待ち遠しかったなぁ・・・。 私は某アイドル雑誌を注文していたのだが、それが届くと穴が開くほど隅々まで読んだ。
何ページには誰のグラビア、何ページのどこにはあの歌手のインタビュー記事、その内容は・・・と空で言えるくらい、 あのとき、TVチャンピョンでその雑誌の王者選手権があったなら、私は間違いなくチャンピョンの王冠を手にしていただろう。
あぁ、あの情熱を勉強になぜ! 向けられなかったのだ! 今となっては悔やまれてならない。

 暫くたって、高価といえどビデオデッキが普及され、我が家にもビデオデッキがやってきた。すると違法のレンタルビデオ配達人が 家に出入りするようになり、(やはり日本の普通の番組を録画してきて持ってくるのだ)怪しげな小屋に通うことは なくなったが、それでもレンタル料が高かったこともあって、親もあまり頼んでくれなかった。

 それと同じ頃、邱永漢氏が日本の本屋さんを開いた。どこもかしこも日本の本、本、本。
その店に入ると「ここは日本?」と錯覚するくらい日本の本で埋め尽くされた。その本屋さんがうちからすぐのところに できたこともあり、私は毎日のようにそこに通って、立ち読みし、本を買った。親も本なら快くお金を出してくれた。
読書の愉しみを生まれて初めて知ったのがこの頃だった。

だって日本に住んでいたとき、私の一番苦手とするものは読書。だから夏休みの宿題一つ読書感想文を 書くのが本当に辛くて堪らなかった。 毎年、本の中身は読まず、一番最後のあとがきを読んで、「こんな内容だろう」と推理しながら書いていたくらいだったから。


高校生で日本に帰国し、テレビをつければ見たい番組は何でも見られるという状況に戻っても、 読書の愉しみは変わらなかった。夜寝る前には必ずベッドの中で本を読み、大きな本棚を買って日に日に 本で棚が埋められていくのを嬉しく思っていたりした。

大学生になると、就寝前の読書がいつの間にか朝まで読書になってしまい、朝日とともに寝るような生活に どっぷり浸かるようになる。大学はそっちのけで・・・。

それから社会人。スチュワーデスになって、何が嬉しかったかと言えば、本屋さんに並べられているハードカバーの 新書を手当たり次第買えたこと。それまでは、読みたくても高価なものゆえ、帯に書かれた内容をじっくりと 吟味し、「買おう」「でも、図書館で借りれば」「すぐ読みたい」「でも・・・」と本一冊買うにも色々と 考えなければならなかった。それが、金に物言わせバブリー炸裂女となった私は、タイトルなどろくすっぽ見ず、 「これとこれ、あぁこれもあれも・・・」それこそマイケル・ジャクソンお買い物風景を地で行く勢いで本を買っていたもんね。
嫌な女? ノンノン! シャネルのブティックでの話ではない、街の本屋さんでの話だ。

フライトに行く時には、かさ張るもののハードカバーを五冊くらいはトランクに詰め、成田に行くまでに 一冊、ステイ先で・・・、成田からの帰りに一冊読む・・・といった具合に。
やだ、こーして書いてると私ってけっこー暗いじゃん。

読書日記なるものを付けていたが、多い年では年間170冊読破、実に二日に一冊の割合で本を 読んでいたことになる。


その後、妊娠し、どっぷりぐーたら専業主婦となった私は、ますます読書に熱中した。
なんといっても時間がある。そして、出産後にやってくるだろう赤ん坊を抱えた多忙な日々を考えると、 余命いくばくかじゃないけど、今のうちに読んでおかないともうこんな贅沢な読書三昧の日々は当分やってこないんんだと いう危惧から、親の仇をとるかのよに、一日中ソファーに転がって、床に積まれた本を読み漁っていた。


そして、ついに恐れていた小悪魔ちゃんはやってきた。

おぉ・・・覚悟していたとは言っても、生活のすべてが自分の時間で進められない。
自分のペースで物事が進められないってことが、こんなにも疲れ、ストレスが溜まることだとは知らなかった。 本どころか雑誌だって読めやしない。長電話だってできないし、ゆっくり食事をすることだって許されない。

(余談*娘が赤ん坊の時、どうしても焼肉が食べたくて、それも炭火の・・・。娘を連れ夫と焼肉を食べに出掛けた。 おぎゃーおぎゃー泣き叫ぶ赤ん坊を煙の中に転がし、私たちはそれこそ焼肉早食い競争決戦大会並の速さで 焼肉を食べた。肉を焼くんじゃなくて、煙にくぐらせた生肉を食べてるかのようだった。あんなに箸を激しく動かした経験は それまでにない・・・・)


読書? いやそんな時間があったらゆっくりお風呂に入りたい・・・。
読書? いやそんな時間があったら十時間くらいぶっ続けで眠りたい・・・。



そう思い続けて・・・あら? もう5年も経ってたことに気が付いた。
乳飲み子抱えて・・・なら、わかる。まだ幼稚園に通ってないので・・・なら、まぁわからなくもない。
しかし、気が付けば娘は5歳だぞ!
育児、育児・・・を理由に私ったらすっかり自分の生活から「読書」というものを除外してしまっていたんじゃい?

「このままじゃいけないーーーーーーーー!」(恒例となった台詞)

そう思い立った私は、この秋、読書再開を決意。読書の秋のスイッチonしました。
以前のように濫読、速読なんてとてもできないけど、 でも少しずつだけど、読書の秋を愉しんでいます。

しかしながら、久々の読書って疲れますね。読書も慣れなんだなと思ったのは、読書への集中力が完全に失われてる。
以前のようにどっぷり物語の世界に入り込めない自分がいる。
「あっ明日のお弁当何にしよう・・・」
「あれ? この前の遠足の写真いつ申し込みだってけ?」なんてすぐ物語の世界から現実に帰ってきてしまう。
おいおい、あんたは今、カルフォルニアのデイビットの家の地下室で・・・デイビットがお母さんから ひどい虐待を受けてる場面にいるはずでしょ! ってな具合に。

またこれは年齢的なものなのか、それともこれも慣れと関係あるのか、目が異常に疲れる。
朝なんか、ドライアイなのか、眼球に瞼が張り付いて目が開かないような、無理して開けたら角膜が瞼に張り付いて 剥がれてしまうんじゃないかの錯覚を覚えます。
それは完璧な目の疲れ信号ですね。



そんな時は菊花茶
! でもってついでに芸術の秋も堪能しちゃおうということで
菊花茶入りの工芸茶で優雅な秋を愉しもう! と思い立った私。

今日の気分は錦上添花。中から三連になった菊の花が浮かび上がるっていうやつ。
中国では連なっているという意味から「よいことがあるとよいことが繋がる」また菊が三つで
三重に繋がると言って、結婚式やティーパーティでよく飲まれてるそうだ。

この育児に追われながらも、読書の秋に目覚めた私へ、読書再開のご褒美として 私はこの錦上添花を淹れることにした。優雅に・・・という時間を過ごすには今がチャンス。
小悪魔・娘もあっちで遊んでいるし。1人だけのティーパーティの始まり、始まり。

雰囲気を出すため、十二少女楽坊のCD「世界に1つだけの花」を流し、 テーブルには錦上添花を三つ小皿に置き、グラスを温めたのち、一つをそーっとグラスに入れ、湯を注いだ。
暫くするとゆらゆらと浮き上がる菊の花・・・。あぁ私のためだけの三重の幸せよね・・・・。



とその時、お気に入りの「世界に1つだけの花」の音楽を聞きつけた娘が、奥の部屋から走ってきた。 それもすごい音程でカラオケ代わりに歌いながらだ! すごい! 娘よ。君は中居君に負けてない!

そして、テーブルにあった錦上添花を見つけ、
ママ、何これ! おっぱいみたい! 黒いおっぱいだーーーー
ゲラゲラはしゃいでる。
「勘弁してよ〜何がおっぱいよ。そんな黒いの、おっぱいみたいなんて言わないでよ!」

ティーパティは散々だ。育児の合間の優雅なお茶会も、このようにして小悪魔乱入によって破壊された。ため息。

ふっと気が付くと娘の歌声が遠ざかっていった。
あら? 娘も私へのいたわりを理解する年齢になったんだと少し嬉しく思いながら、テーブルに目をやると なんと小皿に置いてあった錦上添花が二つとも消えていた。
犯人は娘しかいない。 娘の後を追った。

そして私が目にしたものは! 芸術の秋とは程遠い、いや、それとも、これぞ芸術と言うべきか!

すごい作品が出来上がっていた。(漫画参照)


私の優雅な秋はいつ訪れるというのか・・・。合掌・・・・・・・・・・・。



 
 

注釈  錦上添花
【秋の夜長にお勧めの本】
ジョイ・ラック・クラブ
ジョイ・ラック・クラブ エィミ・タン著
1949年、サンフランシスコ。マージャンをしながら、点心を食べ、中国での昔話で盛り上がる会“ジョイ・ラック・クラブ(喜福)”。いろいろな過去を持った中国人女性四人の集まりだ。
四十年後、メンバーの一人の死をきっかけにその娘が母親の代わりにジョイ・ラック・クラブに参加する。その中で母親の悲劇的な過去を知らされる。それを機にメンバーの過去の物語が次々に語られていく...
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蒼穹の昴 浅田次郎著
(汝は必ずや西太后の財宝をことごとく手中におさむるであろう。中国清朝末期、貧しい農民の少年・春児は占い師の予言を信じて宦官になろうと決意した。)(蒼穹の昴帯より)西太后や李鴻章などが登場する歴史小説なのだが、少年・春児の目を通しずんずん物語りに引き込まれていく。歴史小説でこれほど泣いた本があっただろうか(涙)
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