| 私の友達の多くは牡蠣に当たって壮絶な食中毒体験談を持っている。
「朝までノンストップ、ゲロ・ピー、ゲロ、ゲロ、ピ〜ピ〜。便器に座っては、便器に追いかぶさりの繰り返しに疲れ、体力は消耗し、やっと治まったかと安心して、暖かい布団へと2、3歩、歩きかけたところで、またトイレに戻され・・・」
大体皆こーゆーパターンに決まっている。
私は言う。
「でもって、次の日は病院で点滴受けて、もう2度と牡蠣は食べないって思うんでしょ? 知ってるわ! 私が気になるのはその後の話。ところで一体何キロ痩せたわけ?」
相手は「この世で一番冷血な人間!」という目で私を睨みながら、答えてくれる。
「その食中毒で8キロ痩せた」
「は、は、8キロ〜?」(◎o◎)
ダイエットして、死にそうな空腹に絶えながら、8キロ痩せるって言ったら、あんさん、何日かかると思う? いや自慢じゃないが、私8キロもダイエットで痩せた試しがございません! 大抵頑張って3キロ痩せたくらいでギブアップでしょ。それが牡蠣1つ(2つ? 3つ?)で一晩に8キロ(それが壮絶な苦行だとしても)痩せられるなんて、羨ましい!
「あんたね! なったことがないからそんなこと平気で言えるのよ! 経験してごらんなさいよ! 痩せるだの、当たってみたいだのなんて、言える次元のもんじゃないんだから!」
「そーだ! そーだ!」
その場で結成された牡蠣食中毒被害者の会からすごい団結力でブーイングを浴びせさせられる。
実の話、私は牡蠣が苦手だ。口の中にモゴモゴして、強烈な磯の香りが吹き出るあの感じが好きではない。しかし、お恥ずかしい話、私はかつて怖いもの知らずの若かりし頃、牡蠣食中毒ダイエットに臨み、
あえて 「鍋用牡蠣」*火を通してお召し上がり下さい と書かれている牡蠣を買ってきて、「良薬口に苦し」と唱えながら一気に1パック食べたことがある。(良い子のみんなは決して真似しないでね!)
夕食として食べれば、その夜には来る! との体験談を信じ、布団に入りながら、「今夜は大変な夜になりそうだ」と(軽率にも)胸をワクワクさせて待っていた・・・・。
ところが、気がつけば朝だった。食中毒によって一睡もできないままトイレで迎えた「気がつけば朝だった」ではない。今か今かとゲロ・ピーを待ちながら、気がついたら爆睡・・・
「あぁ良い夢みた〜! あら? ここはどこ? トイレ? 何で布団なわけーーーーーーー?」
の朝だったのだ。
残念ながら(失礼)私は食中毒にさえなったことがない。
私だけではない、kaoも私に引けを取らない強靭な体の持ち主だ。
添乗員をしていた頃、kaoの異名は「鉄の胃袋の女」だった。
世界各国、出された料理は一応何でも食べてみる、いや、食べてみたい! のkaoは、今までにかえる、蛇、サソリ、らくだの足・・・etc何でも丸呑みにしてきた。
彼女の武勇伝の1つに、シルクロード17日間の旅がある。
北京から飛行機で3時間ウルムチに入り、そこからバスでトルファン〜点在す小さな町を巡りながら、パキスタン国境のカシュガルという国境線上に位置する町へ。ここから国境を越えパキスタンに入ろうとしたとき、がけ崩れが起き、カシュガルでこの旅は終わることになった。
通過した町はイスラム教圏が多かったため、食べ物はみな羊。一行はひたすらラムの肉を食べ続けた。お客さんはシルクロードを西に行くに連れ、1人、2人、3人と体調を崩して行った。そして、不思議なことに毎日ラム肉を食べ続けていた一行はあることに気づいた。
「自分の体が羊の匂いに変わった」ことを。
旅が終わって帰ってきたkaoはこう言った。
「本当にお客さんの1人が、なんだか私体臭がきつくなってきたような気がするわと言ったらね、皆一斉に私も、私もって、やだ、私だけ何も変化がないわとクンクンしたら、本当に今まで嗅いだことのよういような芳ばしい? っていうか、体臭が毛穴から漂ってたのよ!」
一行は、まるで犬のようにクンクンお互いの同じ匂いを嗅ぎ、皆同じ匂い・・・によって仲間意識が強まったという。
この旅でkaoは新たある食歴を加えることとなった。羊の丸焼きが出された際、現地のガイドさんがその目玉を指差し、
「これが一番のお勧めです!」
とお客さんたちに勧めた。しかし、皆「きゃーー」と言って、食べてみようという人は現れなかった。kaoは常日頃からその国の食文化を否定すること=その国の人たちに大変失礼だと思っている人間なので、これ以上断り続けられたらガイドさんに済まないと思い、
「えーーー私食べてみたいな♪」
と口走っていたという。
「で、どんな味だったわけ?」と聞くと
「どんな味もなにも、さすがの私も目玉でしょ? どうにか目を合わさないように口に入れてね、でも、味わうよりなにより、口の中で転がす感じ? 鬼太郎の目玉親父キャンディーって感じ?」
本人平然としているものの、「キャーーー」聞いてる方がぴっくりだ。どうかそれが食道を通過し、下からでてきた時、目が合いませんようにと私なら願う。
シルクロードにはカレーズという地下水路が無数に通っている。水の少ない砂漠の地、例え川が流れていても気温の高い夏はすぐに干上がってしまう。そこで地下水路を掘り、天山山脈の雪解け水を流している。
そこで 現地の人たちは「きれいで美味しいお水」としきりに勧めてくれた。添乗員として、一応「きれいな水と言っても、生水なので、飲まれない方が・・・」と口にしたものの、見ればお客さんの何人かが
「わーーーー冷たくて美味しいーーー」
とゴクゴク飲んでしまっていた。おぉ・・・人の話は最後まで聞こうよ! そして、案の定、その水を飲んだお客さんは皆、翌日ピーピーちゃんになってダウン。「実はさ、一応お客さんには飲まない方が・・・って添乗員の使命上言ってたものの、私も好奇心が抑えられなくてこっそり飲んでみたんだよね・・・。ピーピーになったかって? ならない自信があったから飲んだのよ」kaoは言った。
17日の旅を終え、kaoを含め、2人ほど何も体調を崩さずに成田に着いた。
ところが、その後、写真交換会が開かれることになりお客さんから招待されたkaoが行ったところ、最後まで元気そうだった2人もひどくはなかったにしろ毎日正露丸のお世話になっていたと聞かされた。
さて、花粉症。この強靭な原始姉妹にはやはり無縁の現代病らしい・・・。
去年、凍頂上烏龍茶が花粉症に効くと言われ、爆発的な売れ行きとなったけど、お茶なら売るほどあるってもんよの私たちは身を以って証明できる生き証人には生憎なれそうにもない。
以前テレビで花粉症に何が一番効くのか? という番組を見たことがある。花粉症に悩まされる芸能人が出ていて、その辛さを語り、私の記憶が正しければ林や一平? が、小さなビニールハウスのようなものの中に入り、そのハウスの中に、パイプを通して、真っ黄色な花粉がどんどん注入されてくるのだ。その花粉を吸った彼は咳、くしゃみで苦しみ、、ついには呼吸困難になり解放された。
それを見ていた花粉症の友人は、
「見てるだけでこっちまで目が痒くなっちゃったわよ!」
と話していたが、私なんか自分があのハウスの中に入ったら一体どうなるのか視聴者体験者募集があれば是非応募してみたいと思ったほどだ。もしかしたら、
「あら? 森林にいるような香りがしてきました。マイナスイオン? 森林浴?」
なんて深呼吸してるかも・・・?
(こんなことを言ったら、その花粉症の友人の反感を買い、「そーゆーのがきっかけである日ひどい花粉症になるのよ! 明日はわが身って覚えておきなさい!」ときつく言われた・・・すいません)
そう、花粉症はある日突然やってくるらしい・・・。
去年の3月のこと。お茶っぱ.comの開店準備で忙しかった時期であった。
「私どうやらついに家族先手を打って、花粉症1号になったらしいのよ」
ある日、辛そうにやや演技がかった口調で事務所にくるなりkaoはそう言った。ついに強靭な原始遺伝子の終わりを告げたか?
「今朝、起きたら目が痒くなって、鼻水、くしゃみが止まらなくなっちゃって・・・」
へぇそうなんだ・・・。忙しさで、体内の免疫力が下がって花粉症に打ち勝てない体になってしまったというのが、kaoの見解であった。しかし、事務所に6時間いる間に、kaoは一向にくしゃみもしなければ、鼻水も出ない、目を痒がってもいなかった。
夕方、(恐らく)花粉が飛び散っただろう道をkaoは自転車を飛ばし、帰って行った。
次の日、またkaoは事務所にやって来るとこう言った。
「どんどん花粉症がひどくなってくる感じ。だって、家に帰ったらもうくしゃみが止まらなくなっちゃって、喉もイガイガしてきたし、夜なんか息苦しくなって、なかなか眠れなかった・・・」
「そんなとき、何の防備もしないで自転車なんか乗ってて大丈夫なの? せめてマスクでも買ってつけたら?」
「う・・・・ん、すごく不思議なんだけど、自転車に乗ってるときは大丈夫なんだよね。かなりのスピードで走っているから花粉が鼻の穴に入る間もないんだろうか?」
はぁ? かなりのスピードったって、鼻で息はしてるだろ? あんた! 自転車で20分無呼吸で走ってるワケないでしょ?
でも、1日、事務所でのkaoの様子を見ても、花粉症は軽症らしいことはわかった。だって、くしゃみも出なきゃ、涙目でもなく、いつもと変わらずにカチャカチャパソコンのキーを叩いているんだから。
1週間、そんな日が続いた。朝、事務所に来れば、花粉症悪化を告げ、でも、事務所にいる間はなんの変調も見せず、マスクなしで自転車に飛び乗り帰って行く・・・。そんな花粉症ってあるんだろうか? 私には知る由がない・・・。
そして、1週間後、事務所に来たkaoは恒例であった花粉症報告をせず、パソコンの前に座り、黙々と作業を始めた。
「あら? 今日の花粉症報告は?」
私が聞いたら、しばらくの沈黙の後、気恥ずかしそうにこう言った。
「ごめん・・・、やっぱり花粉症とは無縁の体だったよ・・・・」
「えっ?」
「いやいや、このところ私、開店準備でとにかく、すっごくすっごく忙しかったでしょ?」
「まぁ・・・それが?」
「でさ、家の掃除なんか全然する暇なかったわけ! それはわかってくれるでしょ?」
「まぁわからなくもないけど」
「いや、昨日さ、床に埃の塊がコロコロ・・・そうよ、あの砂漠の回転草の玉みたいに転がっているのを見つけ、久々に掃除機を掛けたのよね。そしたら・・・私の花粉症治まったってわけで・・・」
「はぁ?」
「いやー自分でも薄々可笑しいなとは思ってたのよ。外では平気で、何で家の中に居るときだけ花粉症になるのかってね・・」
「あんさん、それって花粉症ならぬハウスダストだったっえてわけ?!」
kaoはその言葉は聞こえなかったと言いたげに、私に背を向け、パソコンのキーボードを激しくカチャカチャ叩き始めた。その背中からは漫画で描くところの冷や汗が大量に噴出していた。
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