| 男性の好みのタイプを2つに分けるとしたら、
「フリフリブラウス系の芸術肌」(マンガ「生徒諸君」の飛島さんって言えばわかる? 同世代じゃないとわからないか・・・。じゃ、ちびまるこちゃんの花輪君と言えばわかるよね?)と
「汗に筋肉の体育会系」(これはわかるよね? 筋肉番付登場系です)があると思う。
生まれながらにして、組み込まれたDNAがそうさせてるのか、私ら姉妹は幼い頃から「汗に筋肉の体育会系」の男に惹かれる習性がある。というか、正直、大好きである。子供の頃、勉強ができる子、スポーツができる子、面白い子がクラスの人気者だったけど(私らの時代はハンサムという選択肢はなかったように思う。子供の美的センスはまだ確立されてないからか? それに比べ今の子は、幼稚園児でも「○○君カッコいい〜」と女の子がいう男の子を見れば、ちゃっかりジャニーズ系の子を選んでいたりするからスゴイ!)そう、私は言うまでもなくスポーツのできる子を好きになっていた。まぁ面白い子ってのは、「自分よりギャグのセンスが長けている子なんていない」と自負していたから。
いつだって、スポーツ万能な男の子が大好きだった。動物好きというと「いい人」と勝手に決めつけちゃうように、「ずっとサッカーをしてて・・・」と聞いただけで、「カッコいい人」と思い込んでしまう単細胞だ。
kaoの夫はプロボクサーなんだけど、先日kaoがこんなことを言った。
「本当に頭に来て、昨日私家出したのよ!」
「知ってる〜旦那から電話あったもん。kaoが来てないかって」
「イトーヨーカ堂で時間つぶしてたんだけどさ、もー本当、憎々しくて、別れてやる! って思ったんだけど、今日の練習があったじゃない?」
それは父が今教えている高校生のボクサーの朝練をkaoの夫が指導するというものだった。相撲部屋の親方のような爺や(父)にいつも習っている高校生だが、たまには現役のボクサーに指導してもらった方がいいんじゃないかと、夫の休みの日にkaoから頼んだ企画だった。
「頼んだ手前、ムカついてても行かないわけにはいかないし・・・。で、渋々行ったわけよ」
フムフム・・・。
「やっぱりさ、プロなんだよね・・・。シャドウをしている姿とか見るとね・・・カッコいいわけ・・・あぁこの人、プロなんだな・・・ってさ・・・」途中からはノロケであった。教訓:石川家は今後夫婦の危機を迎えたときは、夫の練習を見学に行け!
でも、私にはわかる。わからないって? あら、あなたはフリフリブラウス系の芸術肌好みね、きっと。だったら、あなたが選んだフリブラ系の彼(夫)が、ケンカの後で「愛のセレナーデ」を奏でたらどう? クーンクーン子犬のように優しくなれるでしょ?
(あら? 愛のセレナーデじゃだめ?)
以前なにかの番組である国の原住民の女性に「この中で誰が好みか?」と日本の有名人のパネルを見せたところ、キムタクとかカッコいい男性軍が多かったにも関わらず、決してイケ面とは言い難いお笑い芸人をどの女性も選んだ。理由は
「だってこの人なら沢山魚を捕ってくれそうだもの」。
そう、わかるわ。私の原点もこの沢山の魚(肉の方がいいけど)を捕ってきてくれるなんだろうな・・・余談だが今まで仕事柄ハワイには何度となく訪れているものの、私はビギナー観光客コース=ポリネシアンダンスショーを欠かしたことがない。あの腰みの1つの肉体美、男性の強さを誇示するようなダンスにメロメロだ。ハワイ、フィジー、ニュージーランド、私のポリネシアンダンスビデオコレクションがあるほどだ。
さて、今月の本題。台湾に烏来というところがある。台北から東南約28キロにあるとても小さな温泉街だ。温泉と白糸の滝、トロッコがあり、台湾の観光名所の1つとなっている。残念ながらお茶っぱでは今のところ取り扱っていないが、木柵鉄観音というお茶はこの烏来の近くで栽培されている。(安渓鉄観音も美味しいよ〜)さて、ここには台湾先住民族のタイヤル族がいて、観光客相手に踊りや寸劇を見せてくれる。私が台湾に住んでいた何十年前・・・日本から親戚やお客さんが来ると決まって、烏来観光に同行したから、何回行っただろう・・・。多分、今東京に住んでいて、TDLに行くより頻繁に烏来に行っていたかもしれない。
タイヤル族は男性も女性も大人になると顔にVの字の刺青をいれる。男は首刈りができるようになったら、女は機織りを一人前にできるようになったら大人として認められ、顔に刺青を入れることを許され、結婚できるのだ。まだご健在かわかりませんが、私が烏来に行った時には顔に青い刺青をしたおばあさんがいたけど、今はどうなんだろう?
烏来に行くと、決まった時間に昔のタイヤル族を紹介する寸劇が見られた。自作自演のこの劇なんだけど、本人たちは口パクで日本語の台詞がスピーカーから流れてきて、それに合わせて役者(タイヤル族)が演じる。私はこの劇が大好きだった。己の中の野生の血が騒ぐのだ。しかし、いつもこれを見た後にホロ苦い想いがしたのはなぜ?
昔、昔・・・・台湾の烏来での話じゃ。タイヤル族の力宝(リーパオ)は18歳。身体は日に焼け、筋肉粒々なその身体は黒光りし、風になびくその髪はほどよく長く黒く・・・そう・・・金城武にそっくりなその風貌にタルヤル族のおなごは皆力宝(リーパオ)に夢中だった。首刈りの儀式も終え、力宝(リーパオ)が顔に刺青を入れるというその祝いの日、村の者は皆、その力宝(リーパオ)の勇姿を見に村長の家に集まった。
今年16歳になる有香(ヨウシャン)も、ばあちゃんと一緒にその儀式を見に来ていた。
「力宝(リーパオ)、よく頑張った。お前も一人前の男じゃ。今日でお前も立派な大人。早う嫁を世話して、一人前の男として子孫繁栄に努めて欲しい」
村長はそう前置きをすると力宝(リーパオ)の厚い胸を叩いた。
「ばあちゃん、私も力宝(リーパオ)と結婚したい・・・力宝(リーパオ)が大人になってしまった今、私も早く機織ができるようにならないと力宝(リーパオ)と結婚することはできないけど・・・」
「そうじゃ、有香(ヨウシャン)、お前は機織が大嫌い、面倒で目がシバシバすると言って、いつでもしないからそうなるんじゃ。ばあちゃんがいくらやれやれと口を酸っぱくして言っても聞きやしないで、昼寝ばかりしておる。隣の菲菲(フィーフィー)だって、お前より年下のじゃが、もうとっくに大人の刺青を入れてもらって嫁に行ったというのに・・・ばあちゃんだって情けないべ」
「だって私、機織なんて苦手だし、タイヤル族一の機織名人のばあちゃんがいれば、私が着る物だって困らないし・・・」
「それがいけんかったな。幼くして両親を亡くしたお前が可哀想で、ばあちゃんはお前を過保護に育ててしまったようじゃ・・・。その結果がこれじゃ・・・。身体ばかり大きいが何もできねぇ、こげなおなごにしてしまった・・・・お前の刺青の儀式を見て、一人前のおなごとなって、嫁さ行くまでばあちゃんは生きていられうんかのう・・・」
そう言うとばあさんはさめざめと泣くのだった。
力宝(リーパオ)の刺青の儀式の日から、村のあちこちの家ではカタカタカタ・・・と機織の音が鳴り止まなかった。村の娘たちは早く立派な機織を仕上げて、一人前の大人となり、力宝(リーパオ)と結婚しようと願っていたからだ。カタカタカタ・・・その音は有香(ヨウシャン)の部屋まで聞こえてきた。
「まったくうるさくて眠れやしないじゃないの! どいうもこいつも!
でも・・・私だって力宝(リーパオ)と結婚したい・・・・」
でも、機織のことを考えるとすぐにその考えは消えて行った。そのカタカタカタという機織の音は夜遅くまで消えることはなかった。「皆、力宝(リーパオ)と結婚したいんだ。そりゃあんなにカッコいい力宝(リーパオ)だもの。ううん、私には関係ない話・・・私は一生機織もできないまま、刺青も入れてもらえず、ばあちゃんとこの家で暮らしていくんだ・・・」カタカタカタ・・・有香(ヨウシャン)は自分の将来を考えると少し寂しくなった。
翌日、目を覚ました有香(ヨウシャン)は驚いた。枕元に一反の機織物が置かれていたのだ。それは、珠をベースに黄色や青を基調にした
タイヤル族を代表する模様の織物だった。
「ばーちゃん! ばーーちゃん! これはなに?」
するといつもなら有香(ヨウシャン)よりずっと早くから起きて働いているばあちゃんが眠気眼でフラフラと有香(ヨウシャン)の部屋に入ってきた。そして、言った。
「有香(ヨウシャン)、昨日、ばあちゃんが夜なべしてこれを織ったんじゃ。ばあちゃんが織ったと思われんように、少し下手に作ってある。ばあちゃんの過保護はこれで最後じゃ。さぁ、早くこれを持って村長のところに行くんじゃ! お前が力宝(リーパオ)のことを前から好きじゃったのは知っておった。さぁこれでお前も一人前のおなごと認められる。そしたら力宝(リーパオ)と結婚できるじゃないか」
「ばーーーあちゃんーーーーーーーー」有香(ヨウシャン)は胸が詰まり、泣きながらばあちゃんの胸に飛び込んだ。それを振り払うかのようにばあちゃんは言った。
「泣いてる暇などない! 早う!それを持って村長のところに行くんだ!」
有香(ヨウシャン)は走った。しかし、反物を持って走っているおなごは有香(ヨウシャン)だけではなかった。沢山の村のおなごたちが有香(ヨウシャン)と同じように、反物を手に全速力で走っている。しかし、皆徹夜明けと見え、思うように走れないようだった。ぐっすり眠った有香(ヨウシャン)だけは、飛脚のような速さで駆け抜けて行った。もともと体力には自信があったのと、そして、何より力宝(リーパオ)と結婚したい! その情熱がいつにも増して有香(ヨウシャン)の足を速めた。
やっと村長の家に着いた。有香(ヨウシャン)の前に1人だけ反物を持ったおなごが先に着いており、反物を村長に見てもらっているところだった。「やられた!」有香(ヨウシャン)はうなだれた。ばあちゃんに織ってもらった反物を持って、言わばズルをしてやって来たのに、うなだれるもなにもあったもんじゃないが、頭の中は力宝(リーパオ)とこ結婚生活で一杯になっていた有香(ヨウシャン)は大粒の涙を流していた。
「こんなんじゃダメだ! 一人前の大人として認めるわけにはいかない!」
村長の声がした。先に来たおなごは力宝(リーパオ)との結婚に焦る余り、機織とは到底言えないような雑でお粗末な反物を持ってきていたのだ。先のおなごは肩を落とし、足を引きずるように帰って行った。
有香(ヨウシャン)の番である。村長は有香(ヨウシャン)の持ってきた反物を隅から隅まで眺め、そして言った。
「さすがタイヤル族一の機織名人のばあちゃんの子じゃのう。早速、今夜、刺青の儀式を行うとしよう。そして、刺青の儀式の後は力宝(リーパオ)との結婚の儀式も行うとしよう!」
痛いの、面倒くさいのが大嫌いの有香(ヨウシャン)だったけど、顔に刺青が入れられるときは、痛さなんて感じなかった。力宝(リーパオ)との結婚が嬉しかったから。村はお祝いムード一色で、豚の丸焼き、酒、そしてタイヤル族の踊り・・・賑やかな夜となった。お祝いに駆けつけた陽気な住民に中で、さっきから一人有香(ヨウシャン)のばあちゃんだけが、オイオイと涙を流していた。
翌日、力宝(リーパオ)と有香(ヨウシャン)は新婚旅行に出かける。今でいう新婚旅行と意味が違っていた。タイヤル族の新婚旅行には大きな目的があった。男の強さを図るのである。新婚旅行には木で作られた背負い椅子が用意される。男はそれに妻を乗せ、山を越え、また山を越え、何日も歩いて村に戻ってくるのである。相当な体力と根性が要求される。妻を背負い、村に戻ってこられる男こそ、夫として相応しいと認められ、ここで晴れて夫婦として認められるのだ。
背負い椅子を肩に掛けた力宝(リーパオ)が中腰になり、有香(ヨウシャン)はそこに腰を下ろした。力宝(リーパオ)が立ち上がろうと身を起こそうとしたが、余りの重さにかなかなか立ち上がれないでいる。村長の顔が曇った。「おい、力宝(リーパオ)、妻の一人くらい背負えなくて、一人前の夫になれるというのか? 情けないぞ!」村一番の力持ちと言われている力宝(リーパオ)だったが、有香(ヨウシャン)の体重はその範疇を越えていたらしい。有香(ヨウシャン)は思いっきり足で地面を蹴った。その反動でどうにか力宝(リーパオ)は体勢を起こすことができたようだ。
皆に見送られながら、2人は村を出て、山道へと入って言った。皆の姿が見えなくなったことを確認すると、力宝(リーパオ)は言った。
「ちょっと降りてくれ。悪いけど、オレには無理だよ。オレは男の名誉を捨ててでも、このまま村に帰る」
「なんで?」
「重くて重くて歩けないよ。昨日村長から有香(ヨウシャン)との結婚を聞いたとき、オレ不安だった。 大体、お前のような太ったおなごを背負って山越えするなんて考えられなかったさ。で、隣の兄ちゃんに相談に行ったら、好きなおなごのためなら、どんな山でも背負って越えられるって言ってくれたんだ・・・。だども、どうよ! もう歩けないべ! オレ、わかったんだ。お前のこと好きでも何でもねぇってことがよ!」
「そんなこと言ったって・・・。これは村長さんが決めた結婚で・・・」
「オレ、知ってるんだ。あの反物だって、お前のばあちゃんが作ったんだろう? おとといの夜、お前の家の前を通りかかったとき、オレ見たんだ。お前のばあちゃんがせっせと機織をしている姿をな! オアイコだべ! 」
「アイヤーーーーー!(なんてことーーーー!)」アイヤーーアイヤーー・・・・・。有香(ヨウシャン)の声が山にこだました。
「さぁ、帰るべ!」
「ちょっと待ったあぁぁぁぁぁああああああ・・・・・」有香(ヨウシャン)である。「ちょっと待ってよ。わかったわ! その背負い椅子を貸して頂戴!」
「?」
「さぁ乗って! 私があなたを背負ってこの山を越えてみせるわ! 私がどんなにあなたを愛しているか見て頂戴!」
有香(ヨウシャン)は機織は苦手だったけど、体力と腕力には自信があった。そして誰よりも力宝(リーパオ)のことを愛していた。山を越え、また山を越え、有香(ヨウシャン)は力宝(リーパオ)を背負い、朝も昼も夜も頑張って歩いた。途中、コヨーテが現れようが、愛する力宝(リーパオ)を守るために、得意のアッパーパンチでコヨーテを打ちのめした。
「なんて頼れるおなごだべ。今までオレ、強がって生きてきたけど、人に守られるってことも心地良いものだべ・・・」
力宝(リーパオ)も日に日に有香(ヨウシャン)に惹かれて行った。
1週間後、新婚旅行から帰ってきた2人を迎えるために大勢の村民が山の入口に出迎えに集まっていた。
「もうそろそろ、着くわよ。さぁ交代しましょう!」有香(ヨウシャン)はさっと背負い椅子を力宝(リーパオ)の背中につけてやった。
村民の目には、妻を背負い、一段と逞しくなって帰ってきた力宝(リーパオ)の姿が映った。その力宝(リーパオ)の背中で皆に手を振る有香(ヨウシャン)の笑顔・・・心なしか日に焼け、貫禄がついたように見えたのは錯覚だったのじゃろうか?
皆口々に「力宝(リーパオ)、よくやった!」「一人前の男じゃーーー」「力宝(リーパオ)バンザイ〜〜!」と拍手で勇姿を称える中
ただ1人ばあさまだけが「有香(ヨウシャン)ようやった。辛かったろう・・・よう頑張った」と独り言をつぶやいた・・・。
注:烏来での劇は夫が妻を背負って出かけていく場面で幕が下りるのですが、子供の頃デブだった私はいつもこの先のシーンが気になって胸が痛むのでした。そして、「もし私なら皆の姿が見えなくなったら絶対に椅子から降りて、自力で歩こう! 旦那さんに迷惑は掛けられないから・・・」と幼心にそう思っていたのでした(涙)・・・・。
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